こんにちは。経理部屋の大橋です。
世間は梅雨入りして、あまりパッとしない天気が続いていますが、
今日も素人農業者のブログ、張り切って参りましょう!
今回は少し制度のお勉強をしたいと思います。
お題はこちら。
モアークの圃場内(「ほじょう」農業者は畑のことをこう呼びます)にちらほらと見かけるこの看板、
いったい何の看板なのでしょうか。
今回は先生に浅野さんをお招きしました。
大橋: よろしくお願いします。
浅野: 宜しくお願いします。
大: 早速ですが、モアークの圃場にはちらほらとこのような看板が立っていますね。
今まであまり意識したことがなかったのですが、この看板はなんですか?
浅: これは看板の立っている畑が有機JASの認定を受けた圃場であることを示す看板です。
もう少し拡大するとこんな感じです。
大: 「有機JASの認定を受けた」というのは具体的にはどのような土地のことをいうのでしょうか。
浅: 大雑把に言うと、3年以上農薬や化学肥料(法律では「使用禁止資材」と呼びます)を
使っていない土地で、かつ現在も使用禁止資材が入らないような措置をしている土地
のことを言います。詳しい制度などについてはこちらをご覧ください。
大: 農薬や化学肥料が使われていない畑、という意味ですね。
それにしても3年以上ですか。ということはまったくゼロから始めて有機JASの認定を
受けるには最低でも3年以上かかるということですか?
浅: 基本的にはそうです。ただし、たとえば長年休耕地だったところで農薬等の使用がまったく
なかったことが明らかな場合などは別の規定があります。
大: いずれにしても認定をとるのは大変そうですね。費用もそれなりにかかるだろうし…。
浅: そうですね。認定を取るのも大変なんですが、有機JASは認定を受けて終わりではなく、
どちらかといえば認定を受けてからが始まりなんです。規定に従ってさまざまな記録を
とらなければなりません。そしてそれらの記録について毎年審査を受ける必要があります。
大: なるほど。一口に有機といっても、「農薬や化学肥料を使わない」というだけではないのですね。
ただでさえ草抜きや虫害の対策などで手間がかかるのに、その上書類の作成や審査まで
受けなければならないのですか。大変ですね。
浅: そうですね。実際、作業負担や費用負担がネックとなって、昔からの農法で農薬や化学肥料を
使わず作っているにもかかわらず、残念ながら認証取得をあきらめてしまう農家さんもいる
ようです。
大: うーん、それはとても残念ですね。生産しているものはまさに有機野菜なのに、
認証を取得していないから、「有機」と表示できないわけですよね。
表示ができなければ当然消費者の人達にも伝わらない…。
浅: そうですね。難しい問題です。
消費者の方々に伝わらないという点では、制度自体の認知度がまだまだ低いという問題も
あります。「特別栽培農産物」などの基準とも混同されがちなようですし…。
大: なるほど。消費者の人達にとって本当に有効な情報となるようにしたいですね。
これ以外に制度の課題といえることはあるのでしょうか。
浅: 制度の課題といえるかどうかわかりませんが、モアークの考え方からいうと、
有機JASは「使ってはいけない資材を規定する基準」であって、農法や品質を規定する
基準ではないという点です。
大: ほう、といいますと?
浅: つまり、農薬や化学肥料は使わないという一定基準をクリアしていても、
野菜を生産する畑の土作りの仕方や栽培の方法が異なれば、野菜の品質には
バラツキが出てきます。簡単に言うと、有機JAS認証を受けた野菜の中にも
ランクがあるということなんです。
ここで全てを紹介すると非常に長くなってしまいますので、詳しくはコチラを
ご覧いただきたいのですが、非常に重要なポイントです。
大: 有機野菜にランクがあるということですか。この点は非常に重要なので、
もっと詳しく聞きたいのですが、少し長くなってきましたので、今日のところはこの辺で
区切りを付けたいと思います。有機野菜のランクの話はまた後日ご紹介しますね。
浅野さん、有難うございました。最後に一言お願いします。
浅: はい。
作業負担や認知度の点で課題がないわけではありませんが、有機JASの制度があるおかげで
少なくとも慣行農法との区分けをハッキリさせることができるので、非常に有効な制度だと
思います。制度の利用の仕方を工夫する必要があるのかもしれませんね。
さて、今回は有機JASの制度を取り上げてみました。
有機JASの制度についても、制度が生まれた歴史的背景や、世界の有機認証基準との比較、
その他の農産物基準との比較、さらには今後の制度の改正見通しなど、
皆さんにご紹介したいネタがたーくさんありますので、
今後公式ページの方でご紹介していきたいと思っています。是非ご覧いただければと思います。
蛇足ですが、個人的には、
農薬・化学肥料を使っていないことを立証する制度より、
農薬・化学肥料を使用した場合に表示を義務付ける制度の方が、
より消費者の方々にとって有用な情報を提供できるのではないかと考えています。
もちろん、その場合も課題がないわけではありません。
消費者の方々が本当に安心して安全な食品を手に入れることができるように、
これからも努力していきたいと思います。
さて、次回は7月8日。
3週間後にお会いしましょう!